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正法眼蔵 有時 18

薬山惟厳禅師がある時、石頭希還禅師の指示で馬祖道一禅師に参じて質問した。

薬山惟厳禅師問う
私は様々の形における仏道修行や経典の説いている教えの概略と言うものはわかりましたが、達磨大師がインドからはるばる中国に来られた趣旨とは一体どういうものでありましょうか。

馬祖道一禅師答えて言う
ある時は何らかの動作をする。あるときは何の動作もしない。ある時は何らかの動作をすることが良いという評価を受けるし、ある時はそれが適当でないと評価される。

馬祖道一禅師の教えを聞いて、薬山惟厳禅師は「なるほど、仏道とはそういうものか」という事が本当の意味でわかった。

そこで馬祖道一禅師に薬山惟厳禅申し上げる
自分がかつて石頭希還禅師のもとで教えを受けておりました時は、蚊が鉄で出来た牛の背中に乗って、その牛を刺して少しは牛を痛がらせてやろうと一所懸命やっていたに過ぎなかった。

薬山惟厳禅師と馬祖道一禅師の問答について道元禅師が注釈されます。
ここで馬祖道一禅師が言われている教えは、他にも沢山の仏道の指導者がいるけれども、そういう指導者と格段の力量の違いがある。そのことは別の言葉でいえば、山を環境とし、海を環境としているところの現実の生活と理解する事もできる。

そして、その世界において行動している主体が、肯定される(善)とか肯定されない(悪)とかと言われる対象になっているのであり、またそれは客観世界によって動かされるという関係でもある。そこに生きている人は、自分自身で行動しているし、周囲に引きずられて行動させられている。

だから、善いとか悪いとかと言っても悪いという事態が常に主体に対して何も行動させないと言う事ではないし、また主体に対して何の行動もさせない事が常に悪いとも限らない。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
道元禅師はどうしてこんな難しい言葉遣いをなさっておられるんですか。 私は聞いていたお弟子さんだって分からなかったんじゃないかと思いますけど。

先生
問題が二つあります。 まず一つは道元禅師がなぜこういう難しい事を言われたかと言いますと、我々の生きている世界そのものが難しいんです。 我々の生きているこの地球の上だけでも中々難しいんですよ。 言葉では説明できないものです、本来は。

それ を言葉で説明しようとされたから道元禅師の文章は非常に難しい内容を持っていると言う事が一つあると思います。 だからその点では我々が途轍もなく難しい世界に住んでいると言う事が、道元禅師の説明が難しいと言う事と同じ事を意味すると言う事が言えると思います。

言葉を使わなないで捉えようと思えば何でもないんですよ。 つまり、足を組み、手を組み、背骨を伸ばしていた状態と言うのはこの世の中の全ですよ。ただ我々は言葉の説明が好きなわけ。

「言葉で説明したらどうなりますか」と言う事が常に出て来るわけ。 で、言葉で説明しようとすると中々説明出来ないと言うのが我々の住んでいる世界だと思います。 それが道元禅師が難しい事を繰り返し述べられたかと言う事の一つの原因になるわけです。

だから幸か不幸か我々はそういう難しい世界に生きているわけです。 言葉で説明しようと思わなければ、それは難しい事でも何でもない。 太陽は東から上がってくるし、朝になったら起きて朝ごはんを食べて、仕事に行くなり、本を読むなりと言う事で日常生活をやっていれば何の難しいことはない。

ただ言葉で説明して、さて人生とは・・・という事で考えようとするとこれは中々難しい問題。 それで三千年の昔から色んな人が色んな説明をしているけれども、本当に当たった説明と言うものはほとんどないんですよ。 私なんかが仏道を勉強した関係からすると、釈尊の教えしか本当のことを説いていないと、こう言う事が言えると思います。
                              つづく--

※雑記
夕方、知人がまた梅を持って来る。彼女に頂いた梅15キロは漬け終わり、これ以上桶もないので我が家は頂けないが、重たい梅5キロも持ってきて頂いたので「知り合いに電話をして見るね」と言って話したところ「今は出先なので明日頂きに上がります」とのこと。梅さん行き先が決まって良かったね。


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「正法眼蔵」は仏道を勉強する上において「なぜ坐禅をやらなければならないか」という事を事細かに疑問の余地のない形で詳細を述べておられる。だから「正法眼蔵」を読んで仏道の理論的な側面を勉強しながら自分自身で坐禅をやるならば、仏道修行においては欠けているところはない。―愚道和夫老師―

プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
70代女性。自営業。自宅で毎日朝晩坐禅をしています。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」を毎日ブログで紹介しています。愚道和夫老師より平成13年「授戒」平成20年「嗣書」    

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