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正法眼蔵 出家功徳 16

釈尊が言われた。

出家をして仏道修行に励むという事から得られる成果というものは、その内容というものが人間の頭では考えられない程大きいものである。仮にある人が七種類の宝石をちりばめた立派な塔を建てて、その高さが三十三天と呼ばれる天上の世界まで届いたという事があったとしても、それから得られる成果というものは、人間が家庭生活を超越して仏道修行に励むという内容には及ばない。

なぜそのように言うかというならば、七種類の宝石でちりばめられた塔というものは、欲深い、性質もよくない、愚かな人々がその塔にちりばめられた宝石を得たいために少しずつ壊していくという事があり得る。しかしながら出家して仏道修行に励むという事の効果というものは、他の人がそれを傷つけ壊そうとしてもそのことは不可能である。

この様な事情から、ある場合には男子女子に対して仏道を教え、ある場合には仏道修行をさせるために下男、下女を開放し、あるいは自分の支配している人民を仏道修行の機会を与えるために許し、あるいは自分自身が出家して仏道修行に入るという事をするならば、その成果というものの形はほとんど無限であるという事が出来る。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
「直下に第二人がないことを知るべし」についてご説明お願いします。

先生
「直下」と言うのは今日の言葉でいえば現在の瞬間ということですね。「第二人」と言うのは何かというと我々の意識と言うものはよく二つに分かれて自意識と言うものがありがちなんです。それはものを考える自分と考えられる自分と二つに分かれている状態、これが第二人があると言う状態。

ところが仏道ではそういう自分自身の意識を持った反省の状態というものが本当の人間の状態ではないと言う主張がある。そういうものを振り捨てて無我夢中で一所懸命やっている状態が仏道の主張する人間のあり方。だからそういう点では反省的に「これでいいのかな」「これじゃいけないのかな」と頭の中でいろいろとグズグズ考えておる状態と言うものが本当の人間の生き方ではないという主張。

もう日常生活において全く自分が統一された一つになって、滞りなくあらゆる瞬間をこなしていくのが仏道の生活。その状態に入っていくということが坐禅をやる狙いです。坐禅をやることによって何を狙っているかと言うとグズグズと反省する形の日常生活を振り捨てるということ。もっと行動に没入して、疑いなく、迷いなく、せっせと日常生活をやっていくというのが仏道修行。そういう状態に入った事を第二人がないという。

ところが我々は頭の働きが優れているから、「これでいいのかな」「あれでいいのかな」とグズグズ考える。「人はどう思っているかな」とか「将来どうもみこみがないんじやないか」とか「あれは失敗だったな」とかという事で、年がら年中先を考えたり後を考えたりして、グズグズものを考えて行動の方がそれに伴っていかないというのが我々の日常生活のあり方です。

そういう事を礼賛する考え方もあるわけです。今日の文明と言うのは割合それが多い。だから小説家が中々及びもつかないような深いことを考えてそれを文章にすれば「なるほど、なるほど」と皆読んで喜ぶわけです。 そういうことが唯一の文明かと言うところに仏道の主張があるわけだ。

そういう頭が発達していろいろ考えることも大切かもしれないけれども、もっと大事なことはそういう悩みや惑いを振り捨てて日常生活に取り組んでいくことだと。日常生活にそういう迷いなく、惑いなく取り組んでいく状態が、第二人のいない生活だということであります。

だから、仏道において釈尊の教えを掴んだ人と言うのは、そういう点での惑いや迷いがないということ。そういうふうに理解してもいいと思う。そういうことです。


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「正法眼蔵」は仏道を勉強する上において「なぜ坐禅をやらなければならないか」という事を事細かに疑問の余地のない形で詳細を述べておられる。だから「正法眼蔵」を読んで仏道の理論的な側面を勉強しながら自分自身で坐禅をやるならば、仏道修行においては欠けているところはない。―愚道和夫老師―

プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
70代女性。自営業。自宅で毎日朝晩坐禅をしています。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで紹介しています。老師より平成13年「授戒」平成20年「嗣書」    

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