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正法眼蔵 三十七品菩提分法 30

三十七種類の修行法(四念住、四正断、四神足、五根、五力、七等覚支、八正道)

※五力(1・信力 2・精進力 3・念力 4・定力 5・慧力)


五力の「2・精進力」について道元禅師が注釈されます。
精進力(努力を基礎にして得られる力)と言う意味は、行いの中で実際に行動する事と、それを説明する事とは全く別の世界であるという考え方を基礎にし、何が言え何が実行できるかという事をしっかりとつかんで、実行できることを実行し、言葉で表現できることを言葉で表現するという状態を言うのである。

何らかのわずかなことでも言葉で説明することが出来るという事は非常に大きな意味がある。ほんの一つの言葉を実行に移すという事よりも優れた事態というものはない。別の言葉でいうならば、言うべきことを言い、行うべきことを行う事が仏道修行の全てである。

努力をしている状態というものが力を得ている状態である。つまり力を得るとはどういう事かというと、努力をしているという事態そのものである。努力は中間の過程で、その結果力を得るという考えではない。

仏道の立場から見ると一所懸命やっている事自体が力という主張である。そのように一所懸命何かをやっている状態が力そのものであって、その状態を精進力というのである。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
たとえばアメリカの人たちはキリスト教のためかもしれませんが、自分より周りの人のために尽くすという事に重きを置いてやっております。ところが日本人(私)の場合は、人のことはあまり考えないで自分を磨いていこうというのが先になるんです。「自未得度先度他」という教えが仏教にもあるんだから、できあがらなくても人を救う事が大事なんですか。

先生
その点ではね、キリスト教の考え方と仏教の考え方は明らかに違います。キリスト教の場合には自分と他人というものを置きまして「自分を犠牲にしても他人のため」という考え方です。仏教はどういう目標を置いたかと言うと、自分と他人のけじめがなくなるという事です。自分も他人も同じもんだから、大きな宇宙の中の泡のようなもんだという事に気が付くという事です。

そうすると、自分を犠牲にして「人のため、人のため」という努力も必要ないし、そうかといって人の利益を損なってでも「自分のため、自分のため」というのも本当の生き方ではない。人も自分も同じドンブリの中の粟粒の様なものだから、どっちが先に行っても、どっちが後になっても大した違いはないというのが仏教の立場です。

質問
そうすると、「身心一如」という立場もありますね。

先生
そうです。だから、「身心一如」とか「自他不二」とかという考え方になります。それでね「人様のため、人様のため」という考え方がわりあい危険なものをもっているんですよね、裏から見れば、「人様のため、人様のため」という事で個人がやっていけるかというと中々そうはいかない。

だからそういう点では仏教のような考え方で「自分も他人もあんまり違いがないんだ、どっちが良くてもそう大して大きな問題じゃない」という捉え方の方が、実体としては現実にかなっているいう事が言えると思います。、それが仏教の主張だし、仏教の主張が非常に温かい主張だという事はそのことなんです。

「自分を滅却して人のために尽くせ」という事も言わないし、「人の利益を犠牲にして自分の利益を図れ」という事も言わないし、この世の中の成り立ちというのは、人様も自分もそう大した違いはない同じようなもんだ。人様がよくなっても自分がよくなってもそう大きな違いはない。

だから人様がよくなるときは人様がよくなるように、自分がよくなるときには申し訳ないけど自分がよくなるようにという事で一向におかしくない。誰がよくなる、誰が悪くなると言ってみてもそんな実態があるのかどうかさえ分からない。現実そのものが眼の前にあるだけなんだと、そういう事です。

質問
ああ、そうですねえ、ありがとうございました。


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ご訪問ありがとうございます。 「正法眼蔵」は仏道を勉強する上において「なぜ坐禅をやらなければならないか」という事を事細かに疑問の余地のない形で詳細を述べておられる。だから「正法眼蔵」を読んで仏道の理論的な側面を勉強しながら自分自身で坐禅をやるならば、仏道修行においては欠けているところはない。―愚道和夫老師―

プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
70代女性。自営業。自宅で毎日朝晩坐禅をしています。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで紹介しています。老師より平成13年「授戒」平成20年「嗣書」    

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