カテゴリ:1・弁道話のエントリー一覧
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正法眼蔵 弁道話 43
道元禅師の話は続きます。元来仏法を国中に広めるにあたっては国王の命令を待ってすべきであると一般に言われているけれども、あらためて釈尊の残された教えを考えてみるに、沢山の国々の国王、王子、大臣、大将等、様々な人々がいずれも有り難いことには釈尊の直接の命令を受けて、かつての時代における仏法を守り保持しようとする本来の志を忘れず現在に生きてこられたものである。その教化の及ぶ場所は一つとして釈尊の支配して...
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正法眼蔵 弁道話 42
道元禅師の話は続きます。総じて我が国は大海の東に位し、インドや中国から見ると雲や煙を隔て非常に遠い国ではあるけれども、欽明天皇、用明天皇の時代の前後から、仏教が西方から伝わってきた事は日本の人々にとって幸せな事であった。しかしながら頭で考えた事や見聞きした事についての哲学論議は盛んであったけれども、実際の修行を一体どうすればいいのか見当もつかなかった。ところが今は自分(道元)が中国から坐禅というも...
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正法眼蔵 弁道話 41
弁道話の巻、十八問答は続きます。質問―18について道元禅師の答は続きます。上に述べた18問答のやり取りは、質問、答、質問、答と言う形で何回も問答を繰り返した為に中々複雑になってわかりにくかったと思う。本来、説き尽くす事の出来ない現実というものを「言葉」を使って何回となく空しい努力を試みた感がないでもない。しかしながらこの日本では坐禅によって釈尊の教えを探求するという点に関しては、まだその基本思想が伝わ...
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正法眼蔵 弁道話 40
弁道話の巻、十八問答は続きます。質問―18について道元禅師の答は続きます。釈尊の教えがこの我々の住む広大な世界に広まって以降もわずか2000年ちょっと経っているに過ぎない。しかも国土は様々であって必ずしも仁智(慈悲心や智慧に富む)国ばかりではない。また人々も必ずしも智慧の優れた聡明な人ばかりであろうか。しかしながら釈尊の正しい教えは元来私たち人間の頭では考えも及ばない様な偉大な力を具えていて、時期が到来...
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正法眼蔵 弁道話 39
弁道話の巻、十八問答は続きます。質問―18インドにおいても中国においても、人間が元来質朴であり素直である。これはいずれも文化の中心国であるためでありこれらの国の人々は、釈尊が説かれた宇宙の秩序を教えて指導すると非常に早く理解し仏道に入る。ところが我が国は昔から人に対する情けも乏しいし、ものを理解する智慧も少なくて仏教を理解する上での正しい素質というものが中々具わりにくい。これは我が国が中国やインドに...